数年前に誰かがSNSで、とある檜の写真を載せていた。
なんとも個性的な形をした檜だった。
ずっと気になっていたその檜に会ってきた。

その檜はとある集落の小高い山の上にあった。
集落の神様として祀られているだけあって、とても個性的な雰囲気を放っている。

祭壇には大山祇尊(おおやまつみのかみ)と彫られた石が置かれてある。
大山祇尊とはイザナギとイザナミの子供で、山の神様のことだそうだ。
祭壇や紙垂の綺麗さから、現在でもきちんと管理されているのがわかる。

神様が個性的ならお供え物も個性的だ。
ここの神様は女性だから、このようなお供え物をしているそう。
なんでも昔はここに女性は参拝できなかったそうだ。
昔の風習は徹底しているが、現代なら非難轟々だろう。
それにしてもこの場所を見つけるのは大変苦労した。
こういったマニアックな場所を“人に尋ねることなく自力で探す“というのをモットーにしているのだが、そんなチンケなものはすぐに捨てないと、一生見つからないと感じた。
あきらめてバスの運転手に尋ねるも、「聞いたことない」と言われる始末。
あてどなく集落をうろうろすること数時間。一軒の家から出てきた方に場所を尋ねてみた。
なんとその方の家の裏山だった。

じつはここ、熊野古道のすぐそばにある。
たくさんの人が歩く熊野古道から少しだけ逸れたところに、まさかこんなマニアックな場所があるなんて、なんとも不思議な感じがする。