山そのものが神である場所

数年前、SNSでとある檜の写真を見かけた。
なんとも個性的な形をした檜だった。

それ以来、ずっと気になっていたその檜に、ようやく会いに行くことができた。

大山祇尊|撮影者 kumanokodonet

数年越しに対面したその檜は、とある集落の小高い山の上にあった。
集落の神様として祀られているだけあって、周囲には静かで神聖な空気が漂っている。

祭壇に置かれた「大山祇尊」と刻まれた石

祭壇には「大山祇尊(おおやまつみのかみ)」と彫られた石が置かれていた。
山の神様として知られる存在らしい。

祭壇や紙垂の状態を見ると、今もきちんと手入れされていることが伝わってくる。

男性のシンボルの形をした供え物

神様が個性的なら、お供え物もまた個性的だ。
ここに祀られている神様は女性で、このようなお供えがされているという。

昔は女性が参拝できなかったとも聞いた。
現代の感覚では首をかしげてしまうが、土地に根付いた信仰の形なのだろう。

それにしても、この場所に辿り着くまでにはずいぶん苦労した。

マイナーな場所ほど「人に聞かずに自力で探す」ことを信条にしている。
だが今回は、早々に諦めることにした。

バスの運転手に尋ねても、「聞いたことがない」と言われる始末だった。

集落をあてどなく歩き回ること一時間ほど。
一軒の家から出てきた方に思い切って尋ねてみると、なんと、その方の家の裏山だという。

山道の風景

実はここ、熊野古道のすぐそばにある。
多くの人が行き交う道のすぐ外れに、こんなにもひっそりとした場所が残っていることが、不思議でならなかった。

熊野古道のすぐ裏山に、こんな不思議な場所があるなんて。 それは山そのものが神である場所。 観光客の足音が聞こえる距離にありながら、そこだけが日常とは違う空気が流れている。

新宮市、那智勝浦町、本宮町、そして三重県熊野市。 知り尽くしているはずのエリアに、まだこうした「不思議な美」が残っていることに驚きを隠せなかった。

写真家 kumanokodonet は、フィルムカメラを介して場所と人の境界線を記録している。 和歌山県観光連盟「Visit Wakayama」等への写真提供をはじめ、 行政や雑誌等の制作相談を受け付けている。

日常のすぐ隣に潜む「異世界」で、新しい表現を共に模索したいと願う方は、 「熊野でのポートレートモデル募集について」 を確認してほしい。

大山祇尊|Photo by kumanokodonet

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