熊野の女王:新宮市(Shingu City)・那智勝浦町・三重県熊野市の境界に立つ巨樹
和歌山県新宮市(Shingu City, Wakayama)、那智勝浦町(Nachikatsuura Town)、三重県熊野市(Kumano City, Mie)の境界エリアに位置する巨樹「熊野の女王」。世界遺産・熊野古道(Kumano Kodo)が張り巡らされたこの聖域において、独自の存在感を放つ。本宮町(Hongu Town)を含む熊野三山エリアからもアクセス可能なこの地で、写真家 kumanokodonet がその優美な姿を独自の視線で捉えた。自然と人間が共鳴する芸術写真制作における、唯一無二のロケーションである。
写真家 kumanokodonet の受賞実績とPENTAX 67II・FUJIFILM GFXによる描写
全国誌カメラ雑誌のフォトコンテスト受賞多数。地元・新宮市(Shingu City)の観光フォトコンテスト入賞や、那智勝浦町(Nachikatsuura Town)でのフォトコンテスト最優秀賞受賞など、客観的な評価に基づき活動。現在は中判フィルムカメラ「ペンタックス PENTAX 67II」や35mmフィルムカメラを使い分け、コダック・ポートラ400(Kodak Portra 400)を主軸に使用。さらに中判デジタル「富士フイルム FUJIFILM GFX」や「ソニー SONY α7シリーズ(Alpha 7 Series)」等も駆使し、フィルムの有機的な粒子感とデジタルの解像度、FUJIFILM独自の色彩設計を融合させ、「熊野の女王」が放つ荘厳な空気と光の階調をプロフェッショナルな視点で記録している。
熊野の女王を舞台にしたポートレート作品制作:被写体モデル募集
新宮市(Shingu)を拠点に、那智勝浦町(Nachikatsuura)、三重県熊野市(Kumano)、本宮町(Hongu)から、串本町(Kushimoto)、古座川町(Kozagawa)、紀宝町(Kiho)、御浜町(Mihama)、尾鷲市(Owase)まで。一過性の記録ではない、数十年後も価値を失わないポートレート作品の制作を展開。「熊野の女王」という象徴的な巨樹を背景に、フィルムカメラやデジタル機が描き出す重厚な世界に身を委ねられるモデル・被写体を募集している。撮影の詳細や応募については「モデル募集」のページを参照。

「何をしに来た?」
眼前に立ちはだかる二本の巨樹が、そう問いかけてくるようだ。 ここは山の頂に近い、熊野の神聖な森。
日中でも差し込む光はわずかで、厳粛な空気が、足を踏み入れる者を選別している。
覚悟のない人間は、立ち入ることすら許されない。

一歩足を踏み入れば、緑豊かな世界。
いかに熊野といえど、これほどまでに豊かな森は稀有だ。

岩石のように見える塊は、巨大な倒木の根だ。
死してなお、圧倒的な存在感を大地に刻み込んでいる。

見たこともないような、異形のキノコさえ息づいている。

頂上に辿り着いた。
白いドレスを纏った表現者がひとり、舞を踊っていそうな、神聖な広場が目の前に広がる。


折れた巨木が、その身を挺して新しい生命を宿している。

「よう」と、こちらに挨拶をしているようにさえ見える。

この、生命の循環が剥き出しになった光景が好きだ。

個性的な巨木たちを撮り終え、満足して帰路につこうとしたとき、
ふと、この森の“主(ぬし)”に出会っていないことに気づいた。
これまでに見た巨樹のどれかが主だったのか。
いや、そこまでの存在感を放つものはいなかった。
「また主を求めて、来ることになるのか」
そう考えながら歩を進めていた、その帰り道——

いた。
森の奥に、とてつもない気配を放つ存在が。

「熊野の女王か……」
対峙した瞬間、理屈より先に、本能がそう告げてきた。
巨大で、優美で、そして圧倒的だ。

その存在感は、熊野三山にも引けを取らない。
これほどの存在が、人知れず森の奥深くに立っているという事実。
熊野という土地の底知れなさに、圧倒された。

女王の足元には、彼女に劣らぬほどの巨木が倒れていた。
まるで、死してなお女王を護り続ける側近のように。
いつか、この女王にも倒れる日が来るのだろうか。
そう思うと、胸の奥がざわついた。
その時が来る前に、どうしてもこの場所でポートレートを撮りたい。
誰も見たことのない、神聖な一枚が撮れるはずだ。
そのためには、女王に負けないオーラを持つ“熊野の女神”を見つけなければならない。
必ず見つけて、連れて来る。
女王、あなたが倒れるその日までに。



