熊野速玉大社の摂社であり、熊野権現が最初に降り立った場所とされる神倉神社。
今回の記録は、この険しい石段を登り、御神体である巨岩「ゴトビキ岩」へと向かう行程を、35mmカラーネガフィルムで時系列に追ったポートレートアーカイブだ。
不自然な演出を行うことなく、現場の光や環境に合わせたインプロヴィゼーション(即興)によって、神倉神社の圧倒的な迫力と、そこに立つ人の存在をフィルムに記録している。
538段の始まり

麓の大鳥居からのぞくのは、見上げるような急勾配。源頼朝が寄進したと伝えられる、538段もの石段だ。
これから挑む険しい石段を見つめ、最初の一歩を踏み出そうとする被写体を捉えた。
巨岩「ゴトビキ岩」の前にて

538段の石段を登り切ると、突如として現れるのが、巨大な御神体「ゴトビキ岩」だ。
和歌山県新宮市の歴史を遥か古くから見下ろしてきた巨岩の前に立つ。
35mmフィルム Kodak PORTRA 400の豊かな階調が、ゴトビキ岩の硬質な質感と、人の柔らかな佇まいのコントラストを描き出した。
白く滲む光の中で

神倉神社の社殿前、ゴトビキ岩の向こうから強い逆光が差し込む。
フィルム特有の柔らかな描写の中に、凛とした表情で立つ女性。
熊野の神々が初めて地上に降臨したとされる場所で、神秘的な瞬間を捉えることができた。
新宮の街並みと熊野灘の水平線

社殿のすぐ側からは、眼下に広がる新宮の美しい街並み、その奥に広がる熊野灘を一望できる。
かつてこの地で祈りを捧げてきた人々も、同じように新宮の景色を眺めていたのだろう。
撮影を終えて、石段を下る

神倉神社でのすべての撮影を終え、木々に囲まれた石段をゆっくりと下りていく。
下りの中腹からは女坂を利用し、今回の即興の記録を終える。
熊野ポートレートアーカイブ 新宮市・神倉神社での記録を終えて
急峻な石段を登りつめた先に現れる、巨大な御神体「ゴトビキ岩」と、眼下に広がる新宮の街並み。
その圧倒的な場所の中に立つ人の姿を35mmフィルムに記録できたことは、KPAにおいてまた貴重なアーカイブとなった。
清流が湛える桑ノ木の滝でのポートレート撮影から始まり、神倉神社という岩の聖域へ。
新宮市における二つの対照的なフィールドでの撮影を経て、このプロジェクトは今後も熊野の様々な地で、人と土地の記録を重ねていく。
※本記事に関する追記予定
当サイトの運営方針に基づき、本ポートレートアーカイブの撮影は全てデジタルではなく銀塩フィルムで行っている。
この神倉神社の境内においては、35mmフィルムカメラの他に中判フィルムカメラで記録した未現像のカットが1点残っている。
このフィルムの現像が完了次第、本記事に追加で掲載する予定だ。
神倉神社の基本情報
- 所在地
- 和歌山県新宮市神倉1-13-8
- 御祭神
- 高倉下命・天照大神
- 例祭日
- 2月6日(お燈まつり)
- アクセス
- JR紀勢本線「新宮駅」より徒歩約15分
- 駐車場
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あり(無料。第1駐車場:8台、第2駐車場:13台。お燈まつり等の行事の際は交通規制があるため注意)
ストリートビューで周辺を確認する
- 参拝時間
- 自由(夜間は足元に十分な注意が必要)
- 備考
- 熊野権現降臨の地。御神体の「ゴトビキ岩」へは538段の急峻な石段を登る
- 問い合わせ先
- 0735-22-2221(熊野速玉大社)
お燈まつり | 今回ポートレートの舞台となった538段の石段が染まる火祭り
今回ポートレートの舞台となった神倉神社の538段の急峻な石段は、毎年2月6日に執り行われる「お燈まつり」の舞台でもある。
約1,600人の上り子が松明の火を手に駆け下りる勇壮な神事。
当サイトでは、お燈まつり 2026の全行程を記録した最新の一次情報を公開している。



