お燈まつり(Oto-matsuri):神倉神社・新宮市が誇る1400年の火祭り(2026年度最新記録)
2026年2月6日、和歌山県新宮市(Shingu City)の神倉神社(Kamikura Jinja)にて執り行われた「お燈まつり」の記録。2026年度は昨年を上回る1,580人の上り子(のぼりこ)が参集。白装束に身を包み、王子ヶ浜での海中みそぎを経て身を清めた漢たちが、午後8時の山門開扉とともに538段の急峻な石段を一斉に駆け下りる。熊野新聞(2026年2月8日付)でも報じられた通り、その勇壮な姿は「山は火の滝、くだり竜」を体現。闇を裂く松明の火の粉と1580人の咆哮をSONY α7の機動力で捉え、新宮の深淵に宿る「火の継承」の瞬間をここに刻む。
2026年2月6日、新宮。平年を大幅に上回る気温の中、1400年に及ぶ火の継承が始まった。

蒼き静寂から始まる、神事のプロローグ


太陽がまだ昇らない午前6時30分。王子ヶ浜の砂利の上にポツンと祭壇が設えられた。
夜明け前の深い青の中、神酒が並ぶ光景は、お燈祭りの熱狂の前の静寂を物語る。



砂利浜に設けられた簡素な祭壇を前に、上り子たちは神倉山に鎮座する神々へと向かい、静かに、そして力強く遙拝を捧げた。


静寂を切り裂くように「えっほ、えっほ」という威勢の良いかけ声が響き渡る。
準備運動を兼ねた神事「鳥船」。
上り子らは、両手で船の櫂を漕ぐような独特の動作を繰り返し、禊(みそぎ)に向けて精神と身体を高めていった。




そして、上り子らは冬の熊野灘へと足を踏み入れる。

斎主の祝詞が唱えられる中、昇る朝日に向かって合掌。
激しく打ち寄せる波しぶきを浴びながらも、上り子らは寒さに耐え、ただひたすら祈りを捧げ続けた。









神事が終わりを迎える頃、太陽は王子ヶ浜を黄金色に染め上げた。
レンズに描かれた光の情景が、この日の禊が滞りなく終わったことを祝福していた。
神倉の朝、静かなる胎動

神倉神社奉賛会が静かに石段を登り、祭りの舞台を整える。
まだ冷たい朝の光の中、聖域は夜の熱狂を静かに待ち構えていた。
上り子の「火」、神職の「想」

熊野速玉大社での参拝を終えた小さな「上り子」の眼差しには、すでに神倉山を駆け下りる“竜”としての決意が宿っている。




上り子たちはすれ違いざまに「頼むで〜」と短く挨拶を交わす。 手に持つ松明に刻まれた願いと、荒縄で結ばれた絆を確かめ合う、男たちの出陣の合図だ。





神倉神社へと向かう前、熊野速玉大社にてお祓いを受ける神職と介釈。




高く掲げられた大松明と、出発の雄叫びをあげる神職と介釈たち。行列で神倉神社に向かう。



神倉山上の熱狂とは対照的に、麓では静かな、しかし熱気を帯びた時間が流れている。
石段を駆け下りてくる上り子たちの姿を一目見ようと、溢れんばかりの観衆がその時を待つ。
人生、のぼり竜



「お燈まつりは男のまつり、山は火の滝くだり竜」 新宮節にそう唄われる通り、神倉山を流れる火の波は、まさに一頭の巨大な竜のように見える。
けれど、麓で帰りを待つ家族にとっては、その中を駆ける一人ひとりが、かけがえのない「一頭の竜」だ。
2026年、くだり竜となって石段を駆け下りた上り子たち。
祭りは終わるが、道は続く。
これからの人生という山道は、天へと昇る「のぼり竜」のように、駆け上がっていって欲しい。
愛する家族をその背に乗せて。






1580人が刻んだ、火の竜のすべて
2026年のお燈まつりにおける上り子1,580人の動向、気象状況。新宮市における火の信仰を記録した一次資料の全データは、こちらのアーカイブに集約した。
神倉神社の基本情報(アクセス・参拝データ)
- 所在地
- 和歌山県新宮市神倉1-13-8
- 御祭神
- 高倉下命・天照大神
- 例祭日
- 2月6日(お燈まつり)
- アクセス
- JR紀勢本線「新宮駅」より徒歩約15分
- 駐車場
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あり(無料。第1駐車場:8台、第2駐車場:13台。お燈まつり等の行事の際は交通規制があるため注意)
ストリートビューで周辺を確認する
- 参拝時間
- 自由(夜間は足元に十分な注意が必要)
- 備考
- 熊野権現降臨の地。御神体の「ゴトビキ岩」へは538段の急峻な石段を登る
- 問い合わせ先
- 0735-22-2221(熊野速玉大社)
火の竜が、花の窟の風に
神倉山の火の竜が、熊野の春の幕を開けた。
天照大神が共鳴する、花の窟でのもうひとつの祈りの物語。
火の竜の熱狂を抜け、水の女王が待つ深き森へ
男たちの松明が闇夜を切り裂く「火の竜」。その熱狂の余韻を抱いたまま、次に向かうは新宮の水の象徴。
日本の滝百選にも名を連ね、その優雅な佇まいから「滝の女王」とも称される桑ノ木の滝。
そこには火の竜とは対を成す、光降り注ぐ「優美」が満ちている。
気高き水の女王に会いに行く。





