恋人は猫

恋人は猫:35mmフィルムで記録する、和歌山県新宮市(Shingu City)の光と猫たちの肖像

和歌山県新宮市(Shingu City, Wakayama)の閑静な庭園、および潮風が吹く海岸沿いの遊歩道。世界遺産・熊野古道(Kumano Kodo)が通る新宮市周辺、那智勝浦町(Nachikatsuura Town)、本宮町(Hongu Town)、隣接する三重県熊野市(Kumano City, Mie)を舞台に、35mmフィルムカメラ特有の機動性と親密な距離感を活かし、熊野の日常に溶け込む猫たちの姿を記録した。コダック・ポートラ400(Kodak Portra 400)が捉えた葉越しに覗く視線や、陽だまりでの微睡みの中に、過ぎ去った記憶の断片を写し出している。

写真家 kumanokodonet の視点:35mmフィルム(35mm Film)が刻む感情の粒子

全国誌カメラ雑誌のフォトコンテスト受賞多数。地元・新宮市(Shingu City)や那智勝浦町(Nachikatsuura Town)での受賞実績に基づき活動する写真家 kumanokodonet による、35mmフィルムに特化した作品群。高精細なデジタル描写とは一線を画す、35mm特有の粒状感と光の解釈によって、物語性の強いポートレートとして昇華。コダック・ポートラ400(Kodak Portra 400)を主軸に使用し、中判カメラ「ペンタックス PENTAX 67II」やデジタル機(FUJIFILM GFX / SONY α7シリーズ)の運用で培った卓越した眼差しを、より親密な35mmのフレームに凝縮させている。

「恋人は猫」の物語を共に紡ぐポートレート作品制作:被写体モデル募集

新宮市(Shingu)を拠点に、那智勝浦町(Nachikatsuura)、三重県熊野市(Kumano)、本宮町(Hongu)から、串本町(Kushimoto)、古座川町(Kozagawa)、紀宝町(Kiho)、御浜町(Mihama)、尾鷲市(Owase)まで。この「恋人は猫」シリーズのように、特定の感情や物語を背景に持った、数十年後も価値を失わないポートレート作品を制作中。新宮市や熊野古道(Kumano Kodo)周辺のロケーションで、35mmフィルム(35mm Film)が描き出す重厚な世界に身を委ねられるモデル・被写体を募集している。詳細は「モデル募集」のページを参照。

猫を見ると思い出す。
元恋人のことを。

葉っぱごしに見える猫 鮮やかな緑の葉越しにこちらを見つめる猫。元恋人の面影を追う、熊野の静かな光景

猫のような性格の人だった。

被写体としても個性的で、こちらが何も言わなくても、誰も思いつかないようなポーズをする。
なぜそんなことができるのかと聞くと、油絵を学んでいたからだと言った。
被写体としての表現も、芸術の一部。だから、未経験でも“勘”で出来てしまうのだそうだ。

写真を撮っても、写真だけをやってきた人間では思い浮かばない構図が、自然に出来ていた。

カメラという道具を介した自分たちの関係は、とても相性がよかったと思う。

陽だまりの庭で無防備に寝転ぶ猫。フィルムカメラならではの質感が、猫の毛並みと長閑な時間の流れを優しく描き出している。

何度か別れと復縁を繰り返していたから、別れの言葉も、最初は本気にしなかった。

ただ、最後のときは違った。

その日はどしゃ降りの夜だった。
用事を終えて帰ると、軒先でずぶ濡れの子猫が鳴いていた。

妙に、あの人が重なって見えた。

迎え入れることも考えたが、当時の自分には、猫を飼う余裕がどうしてもなかった。

朝になると雨はあがっていたが、子猫はまだ鳴いていた。

夕方、誰かに抱えられて連れていかれるのを、ただ見ていた。

数日後、本当に別れがやってきた。

やっぱり、猫だったんだと思う。

今思えば、作品のために早春の川へ飛び込むような勇気を持っていた君との時間は、自分にとって、とても特別なものだったんだね。

「新しい人のもとで幸せになるんだよ」

そう心で思った。

海岸線の遊歩道で寝転ぶ猫 熊野の海岸線、遊歩道で寛ぐ猫。別れを受け入れ、新しい居場所を願う静かな終幕

恋人は猫|写真家 kumanokodonet

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