Portrait Philosophy: The Muse in the Memory
- 場所
- 和歌山県新宮市(Shingu City, Wakayama / Alleyways and Coastline)
- 被写体
- 路地裏の猫(Street Cats) / 記憶の中の表現者(The Muse)
- 使用フィルム
- Kodak Portra 400(Soft Texture and Nostalgic Tones)
- コンセプト
- 猫のような性格の恋人と、写真表現を通じた追憶(Nostalgia and Muse’s Expression)
新宮の路地裏や海岸線で見出会った猫たちの姿に、かつての恋人を重ねる。油絵を学び、芸術的な感性を持っていた彼女との、フィルムを通じた対話の記録。Kodak Portra 400の柔らかな描写が、切ない別れと、今も心に残る「ミューズ」としての彼女への想いを繋ぐ。
新宮の路地裏で見つけた「猫」と、彼女の芸術的な感性
猫を見ると思い出す。
元恋人のことを。

猫のような性格の人だった。
被写体としても個性的で、こちらが何も言わなくても、誰も思いつかないようなポーズをする。
なぜそんなことができるのかと聞くと、油絵を学んでいたからだと言った。
被写体としての表現も、芸術の一部。だから、未経験でも“勘”で出来てしまうのだそうだ。
写真を撮っても、写真だけをやってきた人間では思い浮かばない構図が、自然に出来ていた。
カメラという道具を介した自分たちの関係は、とても相性がよかったと思う。

何度か別れと復縁を繰り返していたから、別れの言葉も、最初は本気にしなかった。
ただ、最後のときは違った。
雨の子猫と予感
その日はどしゃ降りの夜だった。
用事を終えて帰ると、軒先でずぶ濡れの子猫が鳴いていた。
妙に、あの人が重なって見えた。
迎え入れることも考えたが、当時の自分には、猫を飼う余裕がどうしてもなかった。
朝になると雨はあがっていたが、子猫はまだ鳴いていた。
夕方、誰かに抱えられて連れていかれるのを、ただ見ていた。
数日後、本当に別れがやってきた。
やっぱり、猫だったんだと思う。
今思えば、作品のために早春の川へ飛び込むような勇気を持っていた君との時間は、自分にとって、とても特別なものだったんだね。
「新しい人のもとで幸せになるんだよ」
そう心で思った。

熊野古道をフィルムで撮り続ける写真家 kumanokodonet の作品一覧
リスペクト|音のない世界で奏でられた旋律
耳が聞こえなかった彼女の世界。
一生具現化することはできないと感じていた想いを、下記ページにてようやく綴ることができた。



