桑ノ木の滝。新宮市にある日本の滝百選。

桑ノ木の滝(Kuwanoki-no-taki Falls):新宮市相賀・桑ノ木渓谷に響く「日本の滝百選」の鼓動

和歌山県新宮市相賀に位置する「日本の滝百選」、桑ノ木の滝。高田川支流の奥深く、相賀八幡神社の社叢(しゃそう)から続く森に守られた、水の聖域。中判デジタル FUJIFILM GFX とフィルムの階調を使い分け、岩肌を伝う湿潤な空気や、光を湛えた水面の揺らぎを精緻に捉える。台風の爪痕をも包み込む、新宮市が誇る水と森のアイデンティティ。写真家 kumanokodonet が、その視線で記録し続ける「熊野の真実」の一端をここに公開する。

桑ノ木渓谷。フィルムに写る、水と光

あぁ、もう何度訪れただろう。通い慣れた道すがら、そう呟く。

桑の木渓谷を流れる桑の木谷川。新宮市の清流が放つ柔らかな色彩。| Kuwanoki Valley, Shingu, Wakayama | Kodak Portra 400 | 2021

入口の案内看板に記された「Kuwanokidani-gawa River」という二重表記。
「桑の木谷川川かよ?」などと森の中で独りほくそ笑む。
その苦笑いを、この渓谷の動物たちに見られたかもしれない。

桑ノ木の滝は、アクセスの良さもあり、風景撮影からポートレートまで頻繁に足を運ぶ場所のひとつ。

桑ノ木の滝へ続く道に横たわる苔むした巨岩。和歌山県新宮市の秘境を記録した一枚。| Kuwanoki Falls, Shingu, Wakayama | FUJIFILM GFX Classic Neg. | 2025

気軽にリフレッシュできる聖域。
だが、近年の台風の影響もあり、その道中が荒れていることも少なくない。

桑の木谷川の対岸に横たわる荒々しい倒木。緑豊かな自然の生命力を描き出した光景。| Kuwanoki Valley, Shingu, Wakayama | FUJIFILM GFX Classic Neg. | 2025

倒木が続く遊歩道を歩むたび、熊野の自然が持つ、計り知れない脅威を思い知らされる。

清らかな光に包まれた桑の木渓谷の遊歩道。保存された新宮の美しい光。| Kuwanoki Valley, Shingu, Wakayama | Kodak Portra 400 | 2021

自分が帰郷した頃の道は、整備されたばかりだったようだ。
「ここは熊野の仁淀川と呼ばれているんだよ」
そう誇らしげに語ってくれたあの時の老人。
たとえ道が荒れ果てようとも、この森の魅力が失われることはない。

台風の爪痕を越えて。桑ノ木の滝の優美な姿

日本の滝100選「桑ノ木の滝」。新宮市を象徴する最重要の記録。| Kuwanoki Falls, Shingu, Wakayama | Kodak Portra 400 | 2021

歩いてわずか15分。
それだけで、日本の滝100選にも名を連ねる名瀑に辿り着ける。
「桑ノ木の滝」
落差21メートル。岩肌を滑るように落ちる水は、どこまでも優美で、どこまでも荘厳だ。
こんな大自然がすぐそばにあることに、感謝するほかない。

桑の木渓谷で見つけたハートの形の切り株。新宮の森の奥に潜む奇跡。| Kuwanoki Valley, Shingu, Wakayama | FUJIFILM GFX Classic Neg. | 2025

帰り道も、この森は楽しませてくれる。
ふと足元に目を向ければ、小さな奇跡のような、ハート型の切り株。

新宮市、桑の木谷川のせせらぎ。和歌山の水の清らかさと美しさを表現。| Kuwanokidani-gawa River, Shingu, Wakayama | Kodak Portra 400 | 2021
桑の木谷川に架かる橋。滝へと続く静寂な森の入り口。| Kuwanoki Valley, Shingu, Wakayama | FUJIFILM GFX Classic Neg. | 2025
桑ノ木の滝の近隣に鎮座する相賀八幡神社。新宮市の歴史を刻む静謐な空間。| Ouga Hachiman Jinja, Shingu, Wakayama | FUJIFILM GFX Classic Neg. | 2025
切り通しの向こうに高田川を望むアプローチ。和歌山県新宮市の美しい借景。| Kuwanoki Valley, Shingu, Wakayama | FUJIFILM GFX Classic Neg. | 2025
桑の木谷川の清冽な水面。新宮の自然が織りなす純粋な輝き。| Kuwanokidani-gawa River, Shingu, Wakayama | FUJIFILM GFX Classic Neg. | 2025

渓谷を跨ぐ橋、光を湛えた切通し、そして驚くほど透明な水。
そのどれもが、桑ノ木渓谷を構成する大切な断片。

桑ノ木の滝からの帰り道、出口に広がる絵画のような小径。新宮散策の余韻。| Kuwanoki Falls, Shingu, Wakayama | FUJIFILM GFX Classic Neg. | 2025

撮影を終え、出口へと続く小径。そこが何より絵になる。
桑ノ木の滝に来るたびに、ついシャッターを切ってしまう。

スローシャッターで捉えた桑ノ木渓谷の抽象写真。和歌山の森の精霊を追求した表現。| Kuwanoki Valley, Shingu, Wakayama | SONY α7 Monochrome | 2026

孤高の撮影。kumanokodonetが選んだ道

桑ノ木の滝入口のススキの原に横たわる女性。幻想的なモノクローム・ポートレート。| Shingu, Wakayama | SONY α7 | 2019

桑ノ木の滝へ来ると、あの日を思い出す。
写真家を志す二人の女性と、女優を夢見るモデル。
彼女たちを案内し、共にこの森に分け入った日のこと。

撮影を終えてもなお、高揚し、次の場所を目指す。
だが、その熱量についてこられたのは、自分一人だった。

桑の木渓谷の深い緑の中で描く女性。新宮の光と影が織りなす精緻な階調。| Kuwanoki Valley, Shingu, Wakayama | SONY α7 | 2019

次の場所で、彼女たちがシャッターを切ることはなかった。
モデルも疲労を隠せず、ただそこに立ち尽くしている。
真剣にファインダーを覗き続けていたのは、自分だけ。
ようやく「撮影」が面白くなってきたという矢先の、絶望的な温度差だった。

それ以来、誰かと写真活動をすることは、やめにした。
表現に対する熱量の乖離を一度でも感じてしまうと、もう一緒にはいられない。
歩調を合わせるためにシャッターを止めるくらいなら、自分は迷わず「孤高」を選ぶ。

それでもこの熊野のどこかに、いつか自分と同じ熱量で立ち続けられる誰かが現れるのを、今も願っている。

神々しい光芒が射し込む、決定的な瞬間の桑ノ木の滝。新宮の自然エネルギー。| Kuwanoki Falls, Shingu, Wakayama | FUJIFILM GFX Classic Neg. | 2025

桑ノ木の滝を紡ぐ、もう一つの感性

この桑ノ木の滝がもつ魅力に、惹かれた人がいる。
新宮市の地域おこし協力隊員として、桑ノ木の滝の価値をSNSで発信する。
その試みはkumanokodonetとはまた違う視点で「桑ノ木の滝」の魅力を紡いでいく。

桑ノ木の滝|和歌山県新宮市|写真家 kumanokodonet

写真家 kumanokodonet:熊野を拠点に、紀伊半島の聖域を記録する揺るぎない専門性と美学

和歌山県新宮市(Shingu City)を拠点に活動。新宮市観光フォトコンテスト入賞や那智勝浦町(Nachikatsuura)での最優秀賞受賞、さらにFlickr Explore選出など、国際的・客観的な評価を持つ写真家。中判デジタル(Medium Format Digital)FUJIFILM GFX による圧倒的解像度と、35mm銀塩フィルム(Film Photography)の有機的な階調を高度に制御。「ガードレールのない風景」に宿る剥き出しの美しさや、神域の緊張感の中に現れる光の干渉(フレア)を意図的に描き出し、歴史と現代が交差する熊野(Kumano)の「空気感」を永遠のアーカイブとして固定する、極めて稀有な表現者である。

紀伊半島(和歌山・三重)エリア、熊野地方でのポートレートモデル求人・被写体募集(Model Wanted)

新宮市(Shingu)を軸に、那智勝浦町(Nachikatsuura)、三重県熊野市(Kumano City)、本宮町(Hongu)、串本町(Kushimoto)、古座川町(Kozagawa)、紀宝町(Kiho)、御浜町(Mihama)、そして尾鷲市(Owase)まで。kumanokodonetでは、20代・30代を中心に、表現を志す女性のための撮影モデル求人・副業案件(Job/Recruitment)を随時受付中。 写真家(カメラマン)として、Kodak Portra 400(ポートラ400)が紡ぐ柔らかな質感や中判カメラによる重厚な描写を用い、数十年後も価値を失わない「報酬あり」のお仕事としての作品制作を行っている。フィルムカメラによる特別な撮影体験を希望する方は、詳細は「モデル募集」を参照。

タイトルとURLをコピーしました